■■ Weekly Fax News 680 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 消えかけた炭火を熾(おこ)す 」
(2)「 指示命令する人の責任 」
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◆「 消えかけた炭火を熾(おこ)す 」◆
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江戸時代の藩政改革で有名な上杉鷹山が米沢藩主になった時、藩は
何百万両という負債を抱えた貧困状態で、藩の維持すら難しかった。
鷹山が藩立て直し策のひらめきを得たのは、米沢領に初めて国入りし
た行列の輿の中であり、消えかけた火鉢の炭に一生懸命に息を吹いて
いる時であった。
X社(菓子製造業)は、業績不振で事業再生するか解散整理するか
で迷っていた。20年前に売上高12億円でピークとなるが、最近の
売上高は半減している。現状分析で分かったのは、会社と個人資産に
余裕があるので危機感に乏しいこと、後継者は製造現場の一員に過ぎ
ず経営へ参加していないこと、社員が年々減って平均年齢が上がり斬
新な商品開発や顧客開拓が弱いこと、等であった。正に、炭火でいえ
ば消えかけている状況だった。結局、X社は事業再生への道を選んだ。
(1)会社の敷地は相当余裕があるので、改善資金は一部処分して当
てることにした
(2)後継者育成と承継計画を立案・実行した
(3)商品開発と新規顧客開拓部門を新陣容で組織替えして社員教育
に力を注いだ。
現在、X社は銀行と専門家の協力を得て事業再生策を実行している。
経営者と社員は、忍耐強く息を吹きかけて炭火を熾した鷹山と同じよ
うな心境でがんばっている。
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◆「 指示命令する人の責任 」◆
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道端の石か何かにつまずいて転んだとする。「誰だ、こんなところ
に石を置いた奴は」と言う者は、自己の行動の責任を他人に負わせる
人。「ああ、自分は不注意で困る。もっと気をつけねばならない」と
自省する者は、自己の行動に責任を持つ人。
某地方百貨店で売場リーダーを務めるA氏は、定期的に品揃えや陳
列等の変更を部下に指示命令して、客数や売上の目標を設定している。
結果、目標が達成できた場合は自己の指示に満足し、目標に届かない
場合は部下の落ち度や意欲不足を追求する。
他方、同じ百貨店のBリーダーは、指示命令後の態度がA氏と違う。
首尾良く行かなかった場合でも、「皆は指示に従って一生懸命働いた
のだから、結果は全て私の責任である。次も皆の工夫でがんばろう」
と言う。命令の仕組みは元々軍隊や官庁で確立されたが、権限を持つ
者はその執行の結果責任を負うという原則である。部下が命令を無視
した行動をすれば何らかの処分をされるように、命令に従った職務の
結果責任は順々にその上司が負うことになる。
指示命令の結果がどうなろうと、命令者が潔く結果に責任を持たな
ければ、部下は素直についてこないものである。