■■ Weekly Fax News 697 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 地震保険と税金 」
(2)「 大将は逃げぬもの 」
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◆「 地震保険と税金 」◆
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【Q】地震による被害を受けたため、加入している保険会社から保険
金を受け取りました。受け取った保険金に税金はかかりますか?
【A】資産の損害に基因して支払いを受ける損害保険金に該当します
ので、たとえ受け取った保険金が損害を受けた金額より多い場
合でも、金額にかかわらず所得税はかかりません。また、この
度の震災により、ご自身や扶養親族が所有する住宅や家財など
に被害を受けた個人の方を対象として、「雑損控除」または
「災害減免法による所得税の軽減免除」などの税制上の措置が
あり、確定申告をすることにより、源泉徴収された所得税や納
付した所得税の還付を受けられる場合があります。震災特例法
により、どちらの規定も平成22年において被害を受けたもの
として適用できることになりましたので、こちらも検討されて
みてはいかがでしょうか。
【雑損控除】災害または盗難もしくは横領によって、資産について損
害を受けた場合には、一定の金額の所得控除を受けることがで
きます。雑損控除の対象となる資産は、損害を受けた資産で生
活に必要な住宅、家具、衣類などが対象になります。なお、損
害額が大きく、その年分の所得金額から控除しきれない場合に
は、震災による損害の場合は翌年以後5年間(通常の場合は3
年間)繰り越して、各年の所得金額から控除することができま
す。
【災害減免法による軽減免除】災害によって受けた住宅や家財の損害
金額(保険金により補てんされる金額を除きます)が、その時
価の2分の1以上で、かつ、災害にあった年の所得金額の合計
額が1000万円以下のときにおいて、その災害による損失額
について雑損控除を受けない場合は、災害減免法によりその年
の所得税が減免されるか、または免除されます。
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◆「 大将は逃げぬもの 」◆
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「大将は先きを駈けぬもの、逃げぬものときいておりまする」この
セリフは司馬遼太郎『夏草の賦』(文春文庫)に出ているものである。
若き日の長曾我部元親(戦国時代、四国土佐の領主)が家老に、「大
将たる者は、一軍の先きに立つのがよいのか、後からゆくものなのか」
と尋ねた時の答えである。
A氏はバイオ関連の一流技術者であった。勤務中に手掛けた技術の
事業化を会社に提案して採用され、X会社の社長に就いた。技術者3
人と製造要員等15人の会社であったが、資本金5千万円は1年で消
えてしまった。A氏が先頭に立った販売戦略が思うように進展せず、
経験の無い顧客開拓や販売促進策等に迷いがあった。資金が乏しく、
部下たちも事業の継続性を危ぶんだ。そして5年目に親会社から事業
清算の打診が来た。A氏に対しては、親会社に戻るかX会社の全株式
を買い取るかの選択を求めた。悩んだ挙げ句、全株式を廉く買い取り
再出発を決めた。残った部下は、技術者1人と製造部門8人であった。
A氏はこれまで親会社に依存していた弊害を悟り、部下の先頭に立っ
ていながら逃げ腰だったと反省した。職務の優先順位を必死に守り、
難しい仕事を後回しにせず、実行すれば成果が上がる仕事から逃げな
いことを誓った。