■■ Weekly Fax News 699 ■■
――――◆ 目 次 ◆――――――――――――――――――――
(1)「 消費税 ― 軽減税率で低所得者対策 」
(2)「 接ぎ木の働きのように 」
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◆「 消費税 ― 軽減税率で低所得者対策 」◆
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消費税には、低所得者の負担が相対的に重くなるとの指摘がある。
購入する人の収入にかかわらず、同じ商品に同じ税率がかかるからだ。
消費税にあたる付加価値税率が高い海外諸国では、低所得者対策が定
着している。
欧州で一般的なのは、生活必需品などにかかる税率を低くする軽減税
率だ。
例えば、ドイツの場合、標準税率は19%だが、食料品や水道水、新
聞や書籍、旅客輸送などは7%だ。同じ生活用品であっても、高級品
も多い家具や衣服には標準税率が適用されている。
フランスでは軽減税率が2段階になっているが、イギリスでは「ゼロ
税率」も設定されている。
軽減税率をめぐっては、適用基準に疑問符が付くケースや、品目の
選択に関する混乱も多い。ドイツなどでは、ファーストフード店のハ
ンバーガーを店内で食べると標準税率が、持ち帰り用には軽減税率が
適用される。フランスでは、カカオの割合が50%未満のチョコレー
トは軽減税率だが、50%以上だと「ぜいたく品」とみなされ標準税
率になる。
一方、給付付き税額控除と呼ばれる制度もある。低所得層のうち、
所得税を払っている人には減税し、課税所得者に達しない人などには
現金を給付する仕組みだ。
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◆「 接ぎ木の働きのように 」◆
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こんな経験をしたことがないだろうか。庭に柿の苗木を植え、桃栗
3年柿8年でやっと柿の実を収穫したところ渋柿でがっかりした。柿
は、根のある元の木(台木と言う)に甘柿の木(穂木と言う)を「接
ぎ木」することによって甘柿が実るようになる。X社(医療器械の開
発・製造)のA社長は先端技術を応用して医療器械を開発する人物と
して有名だった。急成長会社の典型として将来の株式上場が期待され
たが、研究開発には多くの時間と費用が掛かり資金面から破綻寸前ま
で追いつめられた。ところが、このような状況でA社長は偶然取引先
商社社員のB氏と面識を持ち、B氏がX社に入って経営企画や財務管
理を担当することになった。A社長とB氏は性格や得意分野が全く違
っていたが、お互いの役割分担を理解していた。車に譬えれば、A社
長がエンジンや照明の働きをして、B氏がブレーキやオイルの働きを
した。結果、X社はその後も順調な発展を続けている。
個々の機能だけでは全体がスムーズに行かない場合でも、違う働き
を上手に組み合わせることによって、全体の力は単に各機能の加算で
はなく乗算に成るのである。企業は、違う能力や組織を混ぜることに
よって、渋柿が接ぎ木によって甘柿になるような変貌を遂げることが
ある。