■■ Weekly Fax News 707 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 労働保険 ― 社会保険未加入へ対応強化 」
(2)「 任すということ 」
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◆「 労働保険 ― 社会保険未加入へ対応強化 」◆
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一般の法人の場合、労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険
の各種労働・社会保険に加入する義務がある。しかし、従業員を保険
加入させると企業負担が発生、企業業績にも影響がでる。そのため、
意図的に無視して全部又は一部の保険加入を回避する事業主は少なく
ない。
国土交通省は建設業者に対して、そのような保険未加入企業への対
応を強化する方針を公表。来年度から保険加入状況を確認する制度を
導入し、未加入事業所については営業停止などの措置を取る方針だ。
厚生労働省でも労災保険に加入しているものの、雇用保険に加入して
いない事業所に対するアプローチを行うなど、保険未加入事業所への
圧力は高まっているのが現実だ。
従業員側も加入義務のある雇用保険に加入していない事業所を退職
し、本来であれば受けられるはずの雇用保険の失業給付を受けられな
い事態に直面した場合、事業所に対して逸失してしまう利益を求める
ケースも頻発している。また、労災についても同様のケースが起きて
いる。
労働保険・社会保険料の企業負担が増大傾向にあるという事情はあ
るものの、法的な義務を履行していないと結果として大きなペナルテ
ィにつながる可能性があることは理解しておくべきだろう。
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◆「 任すということ 」◆
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X税理士事務所で聞いた本当にあった話である。某衣料品店は20
年前に個人で創業し、10年前からXが確定申告を引き受けていた。
最近、この店がXの知らない年48万円の地代を創業時からずっと支
払っていたことが判明した。経営者の父親が援助の気持ちで負担して
いた為に、帳簿に記録が無く税理士(担当職員)が気付かなかった。
外部に任すとは(法的には委任や請負等)、他人に何かの仕事を頼み、
自己に代わって遂行してもらうことである。問題は事前の情報提供と
事後の確認で、人に仕事を任すに当たって委任者は何もしなくて良い
という訳ではない。会計帳簿の処理であれば、事前に正確な情報を伝
えて委任し、成果物(決算書等)を受領する際には確認の義務がある。
新たに経営指導を引き受ける際に一番驚くことは、経営者の相当割合
が自社の決算書を見ていない(又はほとんど理解していない)ことで
ある。「経理や申告は会計事務所に任せているからね」という言い訳
をする。以上のような問題は、社員に仕事を任す場合にもある。「こ
の仕事を君に任す」とは、管理監督をしつつ一定の仕事を任すことで、
仕事の結果責任は自己が負うことになる。任された社員は、仕事の遂
行に当たって「報告・連絡・相談」を命令者に果たしながら進める義
務がある。