■■ Weekly Fax News 708 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 定年後の再雇用における雇い止め 」
(2)「 才覚をひきたてる 」
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◆「 定年後の再雇用における雇い止め 」◆
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改正高年齢者雇用安定法により、平成25年4月からは65歳まで
の継続雇用等が企業に求められるようになる(現在は経過措置により
64歳まで)。
企業側からは希望者全員の雇用確保は人件費負担等もあり、困難と
いう声が根強い。そのため、再雇用にあたり一定の条件を設け、再雇
用後は一定期間で契約更新を行うという企業も少なくない。最近、再
雇用したものの、法的に求められている年齢前に契約更新を行わず雇
い止めとするケースが頻発しており、従業員とトラブルに発展するこ
とが増えている。
以前、定年後に再雇用された従業員が、業績不振を理由に再雇用後
1年で雇い止めになったのは解雇権の濫用に当たるとして会社に賃金
支払いと雇用継続を求める判決が下されており、従業員側もその判決
を元に会社側に雇用継続を求める傾向があるようだ。そのようなケー
スで雇い止めをするには、解雇回避義務を果たす必要があるとされて
おり、有期雇用契約だから契約期間満了のタイミングで契約を更新し
ないのは会社の自由であると安易に考えていると大きなトラブルにな
りかねないため注意が必要だ。従業員側も老後の生活がかかっている
ため、簡単には引き下がらないと思っていた方がいいだろう。
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◆「 才覚をひきたてる 」◆
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X社(食品卸業、社員40人)の営業マンA氏(30歳)は、少し
変わり者で時々社内の話題になる人物である。日頃の営業活動や新商
品企画等において、いつも仲間と違う行動をしたり提案をしたりした。
例えばクリスマスシーズンにサンタクロースの支度で営業先に現れた
り、新商品(インスタント食品)を持ち込み営業先で調理して試食さ
せたりした。大成功したこともあるが、相手先から会社へ苦情が来た
こともある。上司はその度に驚いて社長に報告するが、社長は「うち
の社員は凡人が多いから、一人くらい違うのがいても良いじゃないか。
Aは機転が利くから、他人と違うアイデアを出せる。将来が楽しみだ」
と答えた。『論語』に、「小過を赦(ゆる)し、賢才を挙げよ」(小
さい過失は許してやり、才能のすぐれた者をひきたてるように)とあ
る(金谷治訳注・岩波文庫)。人は他人と違う独自の工夫をすれば、
他人がしない失敗をするかもしれない。その人の長所を発揮するよう
な行動でも、その時受けいれられなければ失敗である。しかし、才覚
が豊かな人の工夫と行動は相手によっては成功する機会もあるはずで
ある。A氏のような人は、平凡な上司の見解によって抹殺される危険
があるので、経営者は社員の才覚を冷静にひきたてる努力が大切であ
る。