■■ Weekly Fax News 716 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 上司のパワハラ ― 慰謝料支払い命令 」
(2)「 職務経験を積む尊さ 」
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◆「 上司のパワハラ ― 慰謝料支払い命令 」◆
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中堅銀行において、50代の元上司によるパワハラにより退職を余
儀なくされたとして、同行と元上司に対して損害賠償を請求していた
訴訟で、岡山地裁は元上司の言動はパワハラに該当し、また同行につ
いても使用者責任があるとして、元上司1人と同行に110万円の支
払いを命じた。その他の元上司2人については請求を退けた。また、
判決ではパワハラと退職の因果関係は認められず、働き続けていれば
得られた利益の請求については退けている。この事案は元上司が病気
療養から復帰後の元行員のミスに対して、強い口調で「辞めてしまえ」
などと叱責していたもので、元行員は抑うつ状態となり退職している。
部下がミスを犯せば上司が叱責するのは日常起こりうる。しかし、
その程度次第では上司に問題があったとされかねず、また企業も使用
者責任を問われるリスクがあるわけだ。
とはいえ、ではどの程度の叱責・指導なら問題にならないのかとい
う判断が確実にはできないのが現状だ。リスクを恐れて上司が指導を
しなくなれば、組織として別の問題も発生する。企業として上司と部
下の関係や日常の指導状況についてしっかり確認し、問題があるかど
うかについて把握しておく必要があるだろう。
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◆「 職務経験を積む尊さ 」◆
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春たけなわ、今年も新入社員が各職場で本格的に仕事を始めた。新
卒採用に限らないが、新規に採用する社員の特徴を「職務経験」の習
得姿勢面から区分したい。
仕事に就く理由として(勤務者も独立開業者も同じ)、大きく分け
て、単に収入を得る手段と考えている人と、職務経験を積んで職業人
としての価値や社会貢献を重視している人とがいる。ここでは前者は
問題外として、後者の場合を考えてみたい。
▽タイプⅠ 早く仕事を覚えようと思い、マニュアルを熱心に読ん
だり、積極的に先輩等に質問をしたりする。新入社員の態度としては
立派ではあるが、問題は一通り初歩を習得した後の姿勢である。日常
の仕事には失敗が少なく、通り一遍の仕事は早いので、仕事の厳しさ
や人間関係の複雑さを知らないで時間を過ごす。「販売経験5年」等
という触れ込みで採用して役に立たない場合が、このタイプに多い。
▽タイプⅡ 始めから難しい仕事や不快な仕事、分野外の仕事等を
厭わず、先輩の行動を見よう見まねで経験を積むタイプ。後から考え
れば、あまり成果もなく失敗の連続かもしれない。しかし、いつかは
マニュアルには無い、先輩・上司の指示や指導が得られないような仕
事をする際に、この苦しんだ経験が役立つものである。