■■ Weekly Fax News 784 ■■
――――◆ 目 次 ◆――――――――――――――――――――
(1)「 役員賞与に係る ― 事前確定届出給与で高裁判決 」
(2)「 竹の節の如くに 」
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◆「 役員賞与に係る ― 事前確定届出給与で高裁判決 」◆
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ある製造業者が事業年度中に役員に支給した賞与について、まず冬
季の賞与は税務署長への届出どおりの金額が払われたものの、業績の
悪化により臨時株主総会が減額を決議、その後の夏季の賞与は届出と
異なる額が支給された事案で、冬季賞与については事前確定届出給与
に該当し損金の額に算入されるとして原告の経営者が行った確定申告
に対し、税務当局はこれを否定し更正及び過少申告加算税の賦課を決
定した。原告は違法処分だとして取消しを求めたが、このほど東京高
裁により棄却された。
高裁は、1)取締役会で定められた賞与等の額は次の取締役会まで
の期間(「事前確定届出給与に係る職務執行期間」)有効であり、全
期間の当該役員の職務執行の対価として一体的に定められたものと解
することができる。従って全期間におけるすべての賞与が事前の定め
どおりの額であるときに限り事前届出確定給与に相当し、変更届出を
せずに夏季賞与が減額された本件の場合は、冬季賞与も含めてこれに
該当しないと判断し、2)支給額が事前の届出より減額されても、所
得金額が増えるため課税の公平を害することにはならないとの原告の
主張に対しては、確定額を高額にしていわば枠取りをしておき損金の
額を好きに決定できてしまう恐れがあると論じた。
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◆「 竹の節の如くに 」◆
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竹に節(ふし)があるように、商売にも多様なつまずきや盛衰の変
動が付き物である。また、この節があるから竹は厳しい風雪にも簡単
に折れないように、商売も多くの苦節を乗越えて初めて真の繁盛を獲
得する。時々経営相談に来るX社(輸入雑貨販売)のA社長は、来る
たびに経営上の悩みを話す。最近の悩みは、「商売が順調な時ほど、
大きな事件や事故が発生するのはなぜか」というものだった。筆者が
「順調な時の心境と仕事への打込み方はいかがですか」と尋ねると、
A社長は「儲かっている時は新たな企画を立てなかったり、仕事が部
下任せだったりになります」と答えた。順調な時に起こる仕事上のト
ラブルの多くは、経営者の油断や怠慢かもしれない。人は健康や収入
に安心している時、警戒心が低くなったり緊張感が緩む傾向がある。
反面、苦節と積極的に取組む人は、体験的に問題解決のノウハウを獲
得し、竹の節の働きの如く次のように問題を解決する(又は発生を予
防する)武器を持つことになる。(1)経営が順調な時こそ、社内に
力を蓄えて次の節目に備える。(2)見栄を張って倒れるよりも、身
を屈して自らの力で困難を乗越える。(3)臨機応変に小回りを利か
せ、転換(業種転換・組織再編・商品入替え・立地変更等)が迅速に実
行出来る。
■■ Weekly Fax News 783 ■■
――――◆ 目 次 ◆――――――――――――――――――――
(1)「 憲法14条1項に違反し無効 ― 非嫡出子の遺産相続で最高裁 」
(2)「 儲けぬ前の胸算用 」
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◆「憲法14条1項に違反し無効 ― 非嫡出子の遺産相続で最高裁」◆
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平成13年7月に死亡した親の遺産について、嫡出子と嫡出でない
子が遺産分割の審判を申し立てた事案で最高裁判所大法廷(竹崎博允
裁判長)は、民法900条4号ただし書の規定のうち、嫡出でない子
の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする部分は憲法14条1項に
違反しないと判断し、同規定を適用して算出された法定相続分を前提
に、遺産の分割をすべきだとした東京高裁の判決を破棄し、事案を差
し戻した。最高裁は、同規定は法の下の平等を定めた憲法14条1項
に違反し無効だとの判断を全員一致で示した。最高裁は判決で、遺産
分割にあたり嫡出子と嫡出でない子が差別的に取り扱われてきた歴史
的経緯やその解消に向けた動きを総合的に考察。そのうえで、遅くと
も相続が開始された平成13年7月当時においては、嫡出子と嫡出で
ない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われており、ただし
書前段の規定は遅くとも13年7月当時において、憲法14条1項に
違反していたと断定した。ただし、今回の違憲判断は、13年7月当
時から今回の決定までの間に開始された他の相続につき、ただし書前
段の規定を前提としてなされた遺産分割審判等の裁判、遺産分割協議、
その他の合意等により確定した法律関係に影響を及ぼさないと明示し
た。
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◆「 儲けぬ前の胸算用 」◆
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某市の商工会議所で開業相談員をした時のこと、開業動機や採算計
画等の説明を始めたところ、「私はそんな捕らぬ狸の皮算用みたいな
ことはしたくありません。むしろ、早く事業に成功して夫婦で世界旅
行に行きたいのです」と言われたことがある。当然、開業の準備とし
ては問題があると思ったが、商売に成功した時の大きな夢が開業の動
機でも良いかもしれないと考えた。X社(居酒屋3店経営)の創業者
X氏は30歳で独立し、計画性に富んだ堅実経営を続けてきた為、比
較的順調に業績を上げてきた。後継者(長男と長女)にも恵まれ、
65歳で仕事から退いた。最初は安楽な生活を楽しんでいたが、やが
てうつ状態になってしまった。自分は一体何を楽しみに仕事をしてき
たのか、と。3年程は病院に通っていたが、ある時知人から農業体験
に誘われてその面白さに感動し、やがて近くに農地を借りて野菜や穀
物を作るようになった。農作業によって金儲けをしているわけではな
いが、何か人生において大切なものを生み出している悦びを感じるよ
うになった。どんな仕事の開業も計画が大事であるが、開業前から計
画達成後(引退後だけでなく途中でも良い)の計画を夢見ることも有
意義であろう。儲けぬ前の胸算用とでも考えて、辛い仕事を乗り越え
て行けば良い。
9月17日(火)比企倫理法人会モーニングセミナー
テーマ 「夫婦の力」
講師 社団法人 倫理研究所 参与 三好 雅典 様
9月11日(水)東松山法人会 経営者セミナー
講話者 社会保険労務士 柳沢事務所 柳沢 正一 様
テーマ「残業代未払い、解雇」トラブルへの対応について
■■ Weekly Fax News 782 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「『ブラック企業』について相談が殺到 」
(2)「 門前市をなす 」
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◆「『ブラック企業』について相談が殺到 」◆
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既報の通り、厚生労働省では9月を過重労働重点監督月間とし、い
わゆる「ブラック企業」対策を開始した。その一環として行った無料
の電話相談では、スタート初日において1,024件(速報値)もの
相談が寄せられたことが明らかとなった。
相談内容としては、「残業代の不払い」が最多で556件、以下
「長時間・過重労働」が414件、「パワハラ」が163件と なっ
ている。注目したいのは相談者の属性で、労働者本人からの相談以外
にも家族からの相談が223件(21.4%)あったことだろう。労
働者本人は相談することで今後、会社に居づらくなるかもしれないと
いうためらいがあり相談できなくても、家族が「毎日帰りが遅いのに
残業代が支給されていない」という相談をすることも十分起こり得る。
同省では相談内容を精査した上で今後の対応に活用するということだ
が、場合によっては事業所に立ち入り調査が入る可能性もある。見込
み残業手当等の支給をすることもなく、労働者の時間外労働に対して
一切の残業代を支払っていないような事業所では、厚生労働省や労働
基準監督署からかなりの圧力を受けることもあり得そうだ。そのよう
な事業所においては、調査される前に自社の状況を確認し、早急に対
応を検討すべきだろう。
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◆「 門前市をなす 」◆
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客が少しも来ない…個人宅であれば静かで良いかもしれないが、店
舗や会社であれば実に困った事だ。このような現象を、「門前市をな
す」の対語として「門前雀羅(じゃくら;雀をとるアミ)を張る」と言
う。商売には「勢い」と言うものがある。一日数人しか来店せず暇を
もてあましていたような店舗が偶然マスコミに取上げられ、店前に行
列が出来る程になる場合がある。顧客の気まぐれと思っていると、店
主が商売工夫に目覚めて本格的な繁盛を続けることも珍しくない。X
店(惣菜販売業)は7年前に姉妹で創業したが、最初の3年間は競争
が激しくて売上が低迷した。月末の給料支払や借入金返済が厳しかっ
た。ところが、元々洋裁教師をしていた姉が特徴のある作業着を次々
に創作して姉妹やアルバイトが着用したところ、地元新聞が記事にし
て地域の話題となった。するとファッションに関心のある顧客層が大
勢来るようになり、あわせて個性的なメニューや店頭看板も工夫する
ことで大繁盛店となった。
「門前市をなす」程の繁盛店作りは月並みな努力では実現しない。
チャンスは誰にも必ず来るものであるが、繁盛が継続するかどうかは
別である。その成否は、流行等偶然の幸運に甘えず、独自の力を発揮
して顧客の共感を得るかどうかに依るものだ。
9月10日(火)比企倫理法人会モーニングセミナー
テーマ 「喜働精神が生き方を変える」
講師 西入間倫理法人会 副会長 臼井 崇 様
■■ Weekly Fax News 781 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 少額投資非課税制度『NISA』パンフ ― 国税庁 」
(2)「 接客言葉の行き違い 」
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◆「 少額投資非課税制度『NISA』パンフ ― 国税庁 」◆
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国税庁はこのほど、平成26年度から始まるNISA(少額投資非
課税制度)に関し、制度の概要を取りまとめたパンフレットを発行し
た。
NISAは、証券会社等の金融商品取引業者に非課税口座を開設し、
非課税管理勘定を設定した20歳以上の居住者等を対象に、非課税口
座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等を非課税とする
措置。1管理勘定における非課税期間は最長5年、年間100万円ま
でが対象であるが、各年分ごとに管理勘定を1つずつ設定できるので、
5年間で最大5つの勘定を持つことができる。従って、非課税投資総
額は最大500万円。非課税となるのは、口座を開設する証券会社等
を経由して交付される上場株式、上場新株予約権付社債、公募株式投
資信託の受益権等が対象で、それらの発行者から直接交付されるもの
は課税扱いとなるので注意が必要である。
非課税期間終了後は、同一の口座内の新たな勘定、あるいは特定口
座・一般口座への移管が可能。非課税口座開設の申請は、今年10月
1日から受け付けられる。なお、NISAの導入と同時に、いわゆる
10%軽減税率の特例措置は廃止され、26年1月1日以後は本則税
率の20%が適用されることとなっている。
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◆「 接客言葉の行き違い 」◆
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神坂次郎著『靴をはく侍』にこんな場面がある(中公文庫「奇妙な
侍たち」所収)。紀州藩士・宇磨谷欣介は面会日に支配頭の関谷弾正
から「して、おぬしなにが得意じゃな」と聞かれ、「て、てまえはほ
らをふきまする!」と答えてしまった。怒った弾正は白扇で欣介の横
っ面を張り飛ばした。「法螺貝を吹く」を「ほら吹き」と勘違いされ
た(後に欣介は戦陣で法螺貝を吹く役に就く)。さて、接客言葉も注
意深く使わないと相手から誤解されたり、不愉快な印象を持たれたり
する。例えば、衣料品店等において、褒めたつもりで「お客様のよう
に体格の良い方は‥」と言ったところ、顧客の機嫌が悪くなった。ま
た店内で、顧客に「~様」を繰返したところ、「人前で名前を連呼し
ないでくれ。何度も~様と言われる程偉くない」と文句を言われた、
等。さらに接客教育後に見られるが、「恐れ入りますが」「失礼です
が」「お~」(接頭語)を使い過ぎて、「エー」「アノー」を連発し
て言葉の頃合いが訓練前より悪くなってしまうことがある。次のよう
な点に注意して接客言葉を使いたい。
(1)敬語等を正確に使う
(2)よく知らない言葉を使わない
(3)流行語・専門用語を無闇に使わない
(4)他人のことでも悪口を言わない
(5)褒め言葉(特に意味に表裏のある言葉)を慎重に使う。
9月3日(火)比企倫理法人会モーニングセミナー
テーマ 「会員スピーチ大会」