■■ Weekly Fax News 832 ■■
(1)「 重要さを増す待遇条件 ― 有給休暇が自由に取れる環境 」
(2)「 従業員の成長発展とは 」
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◆「 重要さを増す待遇条件 ― 有給休暇が自由に取れる環境 」◆
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ドイツの会社員や公務員は、法律により年間24日以上の有給休暇
が認められている(多くの会社で30日間という)。しかも、大抵の
人がこの日数の有給を取っているとのことである。日本でも継続勤務
年数6.5年以上で20日間の有給を認めているものの、希望する時
季に自由に取れるかどうかに疑問がある。法的には従業員の都合で時
季や日数を決められるが(労使協定による制約は可能)、現場の実状
は法律上の内容とかなり異なるようだ。X社(病院向け食品卸業)は
10人の配送員がコースを決めて配達している。配送員がひとりでも
急病等で休むと、同僚の従業員が非常に忙しいことになる(休んだ人
のコースを分担する)。況して、誰かが長期に休んだり、有給を取る
人が重なったりすると極端に忙しい。従業員はこのような実状を承知
しているので、我慢して有給は極力取らない。当然、子供の学校行事・
家族旅行・冠婚葬祭・病気治療の通院等の為でも、自由に有給が取れ
ないという不満は深刻だ。会社としては、欠勤や有給を予定した人員
規模を用意し、労使協定の締結等をして長期有給が計画的に取れる体
制を作ることも必要だ。有給が従業員の希望する時季に必要な日数取
れることは、今後ますます重要な待遇条件となるであろう。
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◆「 従業員の成長発展とは 」◆
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唐突だが、コンニャクはほとんどカロリーの無い不思議な食物であ
る。コンニャクの栽培は、春に植えたコンニャク芋を秋には掘り出し
て冬期は貯蔵しておき、春に再び植える。これを繰返して3年目に収
穫して、さらに加工して食する。農作物としては、実に長い手間を要
する。同様に、従業員の成長発展も本来は最低でも3~5年を要する
が、最近は短期育成型が中心になり、長期総合的な職能養成があまり
実施されていない。コンニャクならば、食品の価値が生まれない。ま
た、何となく慣れた同じ仕事を繰返しているだけでは、一般に職務能
力は大きく成長発展しない。
X社(衣料品小売チェーン)では、衣料品販売に経験のある従業員
を定期的に募集する。面接で経験内容を問うと、「販売接客が得意」
「陳列技法が得意」「商品知識が豊富」等と回答するが、総合的な職
能経験を積んだ応募者は少ない。採用後、接客販売は出来ても苦情処
理が苦手であったり、陳列作業や店舗管理(掃除や防犯)を嫌ったり
する人もいる。X社では、特定地域に集中している店舗間を異動させ
たり、販売関連職務は兼務にしたり、仕入業務にも関与させたりした。
当初は戸惑う人が多かったが、総合的な職能が上がるに連れて成績が
良くなり、労働意欲が向上した。