■■ Weekly Fax News 833 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 最低賃金引上げ額確定 ― 注目される今後の効用 」
(2)「 引き貯金の発想 」
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◆「 最低賃金引上げ額確定 ― 注目される今後の効用 」◆
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もはや風物詩となりつつある最低賃金の引上げだが、多くの中小企
業にとってはひとごとではないだろう。過去5年にわたり、「生活保
護との乖離解消」という、企業の生産性とはまったく関係のない議論
が先行し、結果として大幅な引上げが続いている。
そもそも、生活保護費の額は企業経営とはまったく関係のない話だ。
企業の努力でその額を変えることなどできるわけもない。そのため、
生活保護費の額を理由にした最低賃金の引上げ議論は、行政の不手際
のツケ回しの感が否めないとの声も経営者からはよく聞かれる。
2015年度の最低賃金は全国平均で16円引き上げられて780
円となった。最も高いのは東京都で888円、最低は鳥取県や高知県
等の677円で、その差は211円(昨年度は205円)となり、地
域間格差がより広がる結果となった。また、今年度の引上げにより、
懸案となっていた生活保護費との逆転現象は全国で解消されることと
なる。全国平均16円引上げは前年度最低賃金額で見ると約2.1%
増。4月から消費税率が3%引上げとなり、物価上昇の兆しも見える
状況で、この引上げが政府の狙い通り消費を増やす契機になるか、単
に中小企業の経営を圧迫するだけなのか、注目される。
*平成26年10月より埼玉県は802円となります。
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◆「 引き貯金の発想 」◆
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本多静六(林学者・造園学者、1866-1952)の教えに、
「月給四分の一天引き貯金」があった。本多静六は学者を続けながら
月給からの天引き貯金を実行し、山林の購入や株投資等によって大き
な財産を築いた人だ。
人が月給を得るようになると、大きく分けて毎月少しずつ貯める人
と足りなくて借金をする人とがいる。貯蓄又は借金が毎月1万円ずつ
であっても、10年後には大きな差になる。借金をした人の一部は破
産しているかもしれない。会社も同様で、無計画な借金を続けていれ
ばやがて破綻することは当然ながら、たとえ適正利益を毎期計上して
いても、その使い方が無計画であれば同じ運命をたどるであろう。例
えば、ある会社が毎期4千万円の税引き後利益(売上高10憶円と想
定)を上げていても、大きな借入金と設備投資等を漫然と繰返してい
れば経営が行き詰まることがよくある。一定の利益を計上している会
社が実行すべき最低限の防衛手段としては、利益の一部(理想は四分
の一)を預貯金で貯めて行くことである。例示の会社であれば、1 1
0年で1億円以上の貯蓄が出来るはずだ。この貯蓄は毎期決算後に天
引き貯金のように別枠で管理し、資金繰り計画においても緊急時以外
は無いものとして扱うのである。