■■ Weekly Fax News 834 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「平成27年度税制改正の要望 ― 事業承継税制の更なる拡充を」
(2)「 下手は上手の手本 」
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◆「平成27年度税制改正の要望 ― 事業承継税制の更なる拡充を」◆
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経済産業省はこのほど、平成27年度税制改正に関する要望を発表
した。その中で、事業承継関連として、「非上場株式等についての贈
与税の納税猶予制度の拡充」を提示している。平成25年度税制改正
において事業承継税制の要件の見直しが図られるが(平成27年1月
施行:先代経営者の親族外への承継が対象化、雇用の8割以上を5年
間平均で維持、先代経営者は贈与時に代表者を退任(役員の退任まで
は不要)等)、適用後、先代存命中に2代目が3代目に引き継ぐ場合
には、納税義務が生じ3代目に承継できないといった懸念がある。そ
こで、2代目が一定の要件の下で3代目に対する株式の再贈与を行う
際の、2代目に贈与税の納税義務が生じないような制度の拡充を目指
す。
また、一定の要件を満たしている個人事業者が後継者に生前贈与し
た事業用資産について、後継者が引き続き一定の要件を満たしている
と確認できる場合、贈与者の死亡時に生じる相続税を軽減する、とい
った要望も行っている。今後、個人事業主を含む小規模事業者が直面
する事業承継や事業主報酬などの課題を踏まえ、個人事業主、同族会
社、給与所得者の課税バランス、加えて個人・法人の課税バランスを
図り検討を加えていく、としている。
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◆「 下手は上手の手本 」◆
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世阿弥著「風姿花伝」に、「上手は下手の手本、下手は上手の手本
なりと工夫すべし」とある(野上豊一郎・西尾実校訂、岩波文庫)。
知識経験や技能等が劣る者(下手)が、より上位の者(上手)を見習
うべきは当然であるが、その反対もまた必要である。理由の一つは反
面教師のような場合で、上手が下手の者を見て、同じ失敗をしないよ
うに気をつけることである。もう一つは上手の者は達者な技能に慢心
して、弱点を意識することが難しいからである。
X社(不動産管理業)のAとBは同期入社の中堅社員。A営業課長
は決断力に優れ、苦情処理や対外交渉に自信があった。B主任は穏や
かな性格で、交渉事は苦手だったがパソコン技能や顧客管理・文書管
理等は得意だった。AはBを営業力の無い部下のように軽蔑し、Bの
優れた部分を無視していた。そんな時、Bが中心になって顧客情報シ
ステムを構築したが、Aは事務の合理化に反対して退職してしまった。
やがてBは総務課長になったが、Aは転職後も我意を押し通して職場
を転々としている。Aは主流の仕事(営業)は上手であったが、それ
を支えるBが得意とする事務能力が下手であったと言える。Aの問題
点は、仕事の全てにおいて上手と慢心して、下手の部分を学ぶ姿勢に
欠けていたことにある。