■■ Weekly Fax News 839 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 重荷となる社会保険料 ― 増える偽装請負 」
(2)「 後継者の出番を確保 」
―――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――――
◆「 重荷となる社会保険料 ― 増える偽装請負 」◆
―――――――――――――――――――――――――――――――
法人税減税を求める声が上がり続けているが、多くの中小企業にと
って、法人税率よりも重大な経営問題は、上がり続けている社会保険
料の料率だろう。なにしろ、法人税は赤字であれば負担する必要はな
いが、社会保険料についてはそうはいかない。おまけに料率も高い。
昨今、そのようは社会保険料負担を避けるため、元々社員として雇
用していた者を請負として契約するケースが頻発している。業務の実
態として請負契約が成り立つのであれば問題はないが、事業主が指揮
命令をしているなど、実態は雇用であるとして、退職した労働者から
偽装請負として告発されるケースも後を絶たない。デフレの影響もあ
り、とにかく低価格を求められる業種でそのような偽装請負が増加し
ているが、実際に偽装請負を行っているとしたら、職業安定法違反に
問われることとなり、違反が認められれば1年以下の懲役又は100
万円以下の罰金となる。トラブルとなった時に備えて、完全に請負契
約であることが認められるようにする必要があるだろうが、実務上、
それも困難であることは間違いない。社会保険料や手空き時間の人件
費削減を目的とした安易な違法行為は、その後のペナルティもきつい。
諸法令に十分配慮した運営が必要だろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――
◆「 後継者の出番を確保 」◆
―――――――――――――――――――――――――――――――
X社(建設業)の会長(創業者)から、後継社長(会長の娘婿)の
リーダーシップについて相談を受けた。社長が部下に指示命令が上手
に出来ないと言う。社長は10年前まで鉄道会社にいたが、結婚を機
にX社に入った。3年前から後継社長として奮闘しているが、性格が
穏やかで礼儀正しい為か、部下が社長の指示命令を軽視するような態
度をすると言う。そもそも、社長は必要な日常業務の指示命令を気軽
に発しないようだ。会長は社長の行動をどう改善すべきか悩んでいた
が、実は会長自身の問題に思われた。例えば、週1回の営業会議は社
長が進行役をするが、社員の発言を聞いてそれを評価する人は会長で
ある。社長が賛成しても会長が同意しなければ意見は否決されるので、
社員は会長の顔色を窺(うかが)う。結果、指示命令が会長から発せ
られたような雰囲気となり、報告の第一報も会長の所に入ることにな
る。本例は、形式上は事業承継をした場合であるが、会長(創業者)
は引き続き事業に携わっていた。後継社長の出番を制限していて、な
かなか思い通りのリーダーシップが発揮出来なかったようだ。結局、
会長の出勤日を相当減らし、休養や夫婦旅行と称して時々は長期休暇
を取ったりして、社長の指示命令に頼る組織作りを目指すことにした。