■■ Weekly Fax News 890 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「契約書のスキャナ保存が可能も 原本保存では企業と事前協議を」
(2)「 七転び八起きによる人徳 」
―――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――――
◆「契約書のスキャナ保存が可能も 原本保存では企業と事前協議を」◆
―――――――――――――――――――――――――――――――
日本公認会計士協会はこのほど、「平成27年度税制改正における
国税関係書類に係るスキャナ保存制度見直しに伴う監査人の留意事項」
を公表した。平成27年度税制改正により、国税関係書類に係るスキ
ャナ保存制度の見直しが行われたことを踏まえたものである。
スキャナ保存制度では、税務署長の承認を受ければ、一定の要件を
満たす国税関係書類についてスキャナ保存ができる。納品書・約束手
形の資金移動等直結書類、見積書・注文書等の一般書類に加えて3万
円未満の契約書・領収書が対象となっているが、税制改正により、平
成28年1月1日から「3万円未満」の金額基準が廃止。全ての契約
書、領収書についてスキャナ保存が可能になり、多くの企業で事務負
担の軽減やペーパーレス化が図られることになる。しかし、会計士協
会では、スキャナ保存を行う会社については書類の原本の破棄も可能
になるため、監査人としては十分かつ適正な監査証拠として利用でき
ない可能性があると指摘。監査上必要と判断される金額以上の契約書
など、重要な監査証拠となり得る書類の原本について、監査に必要な
期間、保存することの必要性に関して、被監査会社と事前に十分協議
することが適切であるとしている。
―――――――――――――――――――――――――――――――
◆「 七転び八起きによる人徳 」◆
―――――――――――――――――――――――――――――――
『中国笑話集』(駒田信二編訳、ちくま文庫)に、「徒労」と題する
こんな話が載っていた。「ある男、道を歩いていて何かにつまずいて
ころび、やっと起きあがったところ、またすぐころんだ。〈ちぇっ、
またころぶんだったら、起きるんじゃなかった〉」経営者の苦難には、
日々の取引紛争や資金繰り難等無数にあるが、最大のものはやはり倒
産(経営破綻)である。特に、夢を持って創業した倒産企業経営者の
苦悩は、筆舌に尽くすことが出来ないものである。
A氏は大手企業を退職して30歳代でプラスチック加工会社を創業
し、高度経済成長の波に乗って発展した。ところが、大手取引先の業
績不振によって連鎖倒産した。その後、何度も起業したが倒産し、生
活苦や人間不信に苦しんだ。そんな時、手を差し伸べてくれる友人が
いて、プラスチックの特殊分野を開拓して新会社を始めた。現在、地
方の優秀な安定企業となっている。
A氏の成功の最大要因は、倒産の苦悩(関係者や世間から侮蔑され
ているような心境)から立ち直った人間的強さである。非常に温厚な
風貌でありながら、強い不屈の信念と意志の強さがある。部下の多少
の失敗は気にしない寛容さが社員は勿論、銀行や顧客等から好感を持
たれている。正に、七転び八起きによる人徳の発揮である。