■■ Weekly Fax News 362 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 株式会社の機関設計 ― 株主総会と取締役1名でOKに 」
(2)「 床屋の価格競争 」
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◆ 「 株式会社の機関設計 ― 株主総会と取締役1名でOKに 」 ◆
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このほど決定された「会社法制の現代化に関する法律の要綱」は、
株式会社の機関設計の見直しを予定している。これまで、中小株式会
社の最も類型的な会社設計は、取締役3名以上、監査役1名以上とい
うパターンが多かったが、この改正により、機関設計の選択肢が大幅
に広がると共に簡素化された機関とすることが可能になる。要綱案で
は、「株式会社の機関設計」について、「株式会社の機関設計の規律
の柔軟化を図ることとし、次に掲げる原則の元で、取締役会、監査役
・監査役会、会計参与、会計監査人又は三委員会等(指名委員会、報
酬委員会、監査委員会、執行役)の各機関を任意に設置できるものと
する」としている。また、前述の「次に掲げる原則」の一つに「すべ
ての株式会社には、(機関として)株主総会のほか、取締役(1名で
も可)を設置しなければならない」とする事項を掲げている 。さらに、
その(注)として取締役の権限(取締役会を設置する場合を除く)に
ついて(イ)各取締役が株式会社の業務執行権・代表権を有する(ロ)
複数の取締役を設置する場合には、原則として、業務執行の意思決定
は、取締役の過半数を以て決する――ことを挙げている。要するに改
正によれば、株式会社の機関は、譲渡制限会社であれば、株主総会と
取締役1名の極めてシンプルな設計で済むようになる。
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◆ 「 床屋の価格競争 」 ◆
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「周辺に低価格店が増えて困りましたよ」床屋の店主は苦渋の表情
で話した。大正時代創業の床屋で、現在の店主は三代目である。他店
で修行中の28歳の息子がいるが、時々事業承継の問題が気になる。
「こんな安売り合戦みたいなことをやっている業界に将来性がある
のか」と、息子自身が不安を漏らすからである。その店主父子はどち
らも理容技術には自信があるが、他店とお客を奪い合うようなことに
エネルギーを発揮することは好まない性格である。
「以前からお客様とおもしろい会話を楽しみながら、充分な時間を
かけて丁寧な仕事をしたものですよ。腕一本で床屋をやっていく時代
は終わったんでしょうかねえ」。今、この店主は減った客数を補うた
めに、病院や介護施設などに出張したり、障害者施設でボランティア
活動のリーダーをしたりしている。このような状況の中で、自分の代
で床屋を廃業すべきか、店舗を改装して息子に継がせるべきか迷って
いる。
筆者としては、シニア世代(団塊世代や高齢者を含めた50歳以上)
を中心に、生活スタイルがこれまでになく多様化しているので、低価
格の床屋にだけお客様が集中しないことを話した。充実した理容技術
や癒しの雰囲気を求めるお客様が、従来からの床屋を支持してくれる
だろうと確信する。