■■ Weekly Fax News 419 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 時間外労働になる?ならない? 」
(2)「 『時分の花』に止まらず 」
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◆ 「 時間外労働になる?ならない? 」 ◆
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①法定労働時間と所定労働時間とは?
法定労働時間とは、労働基準法で定められている1日8時間・1週
40時間の労働時間のこと。これに対して所定労働時間とは企業ごと
に就業規則で決められた労働時間をいいます。なお、法定労働時間等
を超えて時間外労働・休日労働をさせる場合には、「36協定」を締
結し労働基準監督署に届け出ます。
平成16年の厚生労働省統計によれば、1日の所定労働時間の1企
業平均は7時間40分となっています。多くの企業が法定の労働時間
の範囲内で所定労働時間を定めています。
【所定労働時間を1日7時間に定めている会社が、1日7時間を超え
8時間までの労働(法内残業)をさせた場合の取扱】
この場合、時間外労働手当(割増賃金)を支払わなくても労働基準
法違反にはなりません。しかし、就業規則といった労働契約で所定労
働時間が決められ、しかも法内残業について時間外労働手当を支払う
旨の規定がなされていれば割増賃金を支給しなければなりません。仮
に規定されていなくても、慣行として支給している場合、労働契約上
支給すべきでしょう。
②完全週休2日制ですが出張先で休日に仕事をしました。休日労働に
あたりますか?
この場合、出張先で実際に仕事をしたのであれば、その時間数は原
則として割増賃金の対象になります。その休日が法定休日(週1日と
決められている)であれば35%増し、法定外の休日(法定の休日以
外の休日)であれば25%増しの割増賃金を支払う必要があります。
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◆ 「 『時分の花』に止まらず 」 ◆
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「能」の世界に、「時分の花」という言葉がある。これは世阿弥の
『風姿花伝』にあるもので、能の演技において12,3歳の少年は声
と姿の美点のみが発揮されて、欠点の方は余り目立たず、いわゆる
「時分の花」が咲く頃だという。しかし、これは修行を十分に積んで
咲いた「まことの花」ではなく、歳と共に声や姿が移ろう時期的な花
にすぎないという(岩波文庫『風姿花伝』参照)。
事業を始めて、最初から順調に発展する場合もあれば、10年経っ
ても波に乗らない場合もある。幸運な場合は、時代の潮流に乗って急
成長を遂げ、創業年数で上場会社になることもある。事業者の素質や
努力の成果であるが、これはまだ「時分の花」である。この段階では
まだ移ろい易く、瞬く間に散って消えてしまうことも珍しくない。少
年にやがて声変わりや身体の変化があるよに、事業も時の変化ととも
に移ろい行くものである。最初から順調であればあるほど慢心し、さ
らに時代の潮流も変わり、やがて逆流になっているかもしれない。
では、「まことの花」とはいかなるものであろうか。時と共に幾つ
かの困難に出会い、その度に境涯が上がっていく人である。時流に甘
えて慢心したり悲観したりせず、困難に出会う度に反省修養して、少
しでも「まことの花」に近づきたいものである。