■■ Weekly Fax News 457 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 パートの厚生年金 ― 週30時間で強制加入 」
(2)「 見通す力 」
―――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――――
◆「 パートの厚生年金 ― 週30時間で強制加入 」◆
―――――――――――――――――――――――――――――――
パートなどの短時間労働者が厚生年金に加入するかどうかは、労働
時間の長さで決まります。厚生労働省が設けている基準は、労働時間・
日数が、その事業所の正社員のおおむね4分の3以上であれば、厚生
年金に強制加入とする―というものです。
正社員の所定労働時間は、多くの事業所で週40時間とされていま
す。原則として週30時間程度働くと、厚生年金に加入義務が生じます。
この「おおむね」4分の3以上という基準は、表現があいまいで、現場
の社会保険事務所が裁量で判断する余地も残されています。パート
を加入させるかどうかを巡って、事業所との間でトラブルが起きやすい
のが実情です。
4分の3未満の人は、基本的には自営業者と同じ国民年金の加入者
(第1号被保険者)になります。現行保険料は、一律に月1万3860円
です。事業主は保険料を負担しないので、すべて自分で支払います。
その期間に対応して65歳以降に支払われるのは、基礎年金だけです。
ただし、4分の3未満の人のうち厚生年金または共済年金の加入者
(第2号被保険者)に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者で、年
収130万円未満の人は「第3号被保険者」とされ、自分で保険料を納
める必要はありません。
第3号被保険者だった人に対しても、65歳以降に基礎年金が支給
されます。なお、自営業者の配偶者は第3号被保険者の対象外とされ、
国民年金保険料の支払を義務づけられています。
基礎年金の支給額は、40年加入した場合の満額でも年79万21
00円(2006年度)です。厚生年金に長期間加入した人と比べると、
老後の年金が大きく見劣りします。
厚生労働省は、厚生年金の加入対象を「週20時間以上」に広げる方
向で検討しており、今年の通常国会で改正案を成立させたい考えです。
―――――――――――――――――――――――――――――――
◆ 「 見通す力 」 ◆
―――――――――――――――――――――――――――――――
扁鵲(へんじゃく)は隠者から秘伝の医術を伝授された(出典:『史記』
扁鵲倉公列伝)。
隠者は薬を取り出し、「これを飲んで30日経つと、何でも物を見通すこ
とが出来る」と言って、扁鵲に秘伝の医書を全部与えた。これは本当と
なり、この眼力で扁鵲が病人を診察すると、五臓の凝りや固まりを全て
透視することが出来たと言う。
医者に限らず、商取引等において相手の現況や将来性を知ることは
切実な課題である。もし見通しを誤って判断すれば、極端な場合は1回
で破滅する場合もあり得る。扁鵲の透視力のように、取引相手の性格
や問題点が見通せれば実に便利である。
例えば、卸会社に突然大きな取引が舞い込んだとする。有利な購買
条件を提示されても、先を見通して、売ってはいけない場合が珍しくな
いのである。その典型的な理由は、著しい代金の延滞等によって、既
存の購買先から断られて新しい購入先を探しているからである。また、
衣料品店が新商品を仕入れるような場合も、お客様の好みや支払能
力を確実に見通して、デザインや価格水準等を決めることが重要である。
商売においても、医療と同様に相手の言葉や外見に捉われず、中身
の実態や将来性を見通す力が肝心である。その要諦は、熟慮と迅速な
対応(調査や情報収集)である。