■■ Weekly Fax News 610 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 資産取得費用に該当せず ― 遺産分割の際の弁護士費用 」
(2)「 行動が心配事を減らす 」
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◆「 資産取得費用に該当せず ― 遺産分割の際の弁護士費用 」◆
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遺産分割の際に支出した弁護士費用が、所得税法第38条に規定す
る「資産の取得に要した金額」に該当するかどうかをめぐる事案で、
国税不服審判所は該当しないとの裁決を下した。
この事案は、審査請求人の亡母が相続によって取得した土地を1億
円余で売却したことによる分離長期譲渡所得の金額の計算上、その土
地の相続に係る遺産分割の際に支出した弁護士費用の一部、約990
万円を取得費に算入して所得税の確定申告をしたところ、国税庁が亡
母の相続人である請求人に対して、弁護士費用は相続の際、資産を取
得するために通常必要と認められる支出ではないので、取得費に算入
できないとして更正処分等をしたことから、請求人がその全部の取り
消しを求めたもの。請求人は異議を申し立てたが、異議審理庁が棄却
したため、審判所に審査請求した。
争点は、この弁護士費用が所得税法第38条第1項に規定する「資
産の取得に要した金額」に該当するか否かにあった。審判所は、遺産
分割の際に支出した訴訟費用、弁護士費用などは、相続人が当該資産
を取得するために通常費用と認められる費用とはいえず、「資産の取
得に擁した金額」に含まれる付随費用に該当しないとの判断を示し、
この事案の弁護士費用は、遺産分割の際に支出した弁護士費用だと裁
定した。
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◆「 行動が心配事を減らす 」◆
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日頃は元気の良い、定期的に面談している関与先X社のA社長が意
気消沈していた。営業担当者の報告は、X社最大の取引先が取引高の
大幅縮小を計画していると言う。理由は、取引先の組織再編だと言う。
ここ数日間、「この取引先が無くなったら売上が20%減る。本当
に20年の実績を簡単に捨てるか」と、A社長は心配している。早速、
「正式な通告が来た訳ではないから、まず今回の情報の事実を掴みま
しょう」と提案してみた。営業担当者を交えてA社長と協議すると、
取引先の情報が曖昧だった。そこで、A社長と担当者は新商品の紹介
と言う名目で取引先を訪問し、正確な情報を探ることにした。結局、
取引先の組織再編は長期計画であることが分かり、当面の取引に変動
が無いことになった。
大事な情報を得ても、悪い情報は否定したい気持ちがある為か、真
偽の判定に迷いが生じる。また、迷いから煩悶や恐怖心を生じて、強
いストレスになるものである。
このような時のアドバイスは、どんな行動が必要であるかをよく考
え、ただ心配しているよりも事実を把握して一日も早く解決の対処方
法を得ることが有効と伝えることである。行動することによって、迷
いや恐怖心が無くなって思考が充実し、得た情報の真偽が正確に判定
できる。