■■ Weekly Fax News 622 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 国外で成長機会の取り込み ― '10年中小企業白書 」
(2)「 勝(かち)を守る勝(かち)を守る 」
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◆「 国外で成長機会の取り込み ― '10年中小企業白書 」◆
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中小企業のうち国際化企業は、非国際化企業と比較して国際化前の
労働生産性が高く、国際化後の労働生産性の伸び率も高い。輸出企業
は、非輸出企業と比較して輸出後の国内の従業者数の伸び率が高い。
直接投資企業は、非直接投資企業と比較して、直接投資後に国内の
従業者数は約1割減少するが、6~7年目には非直接投資企業よりも
国内の従業者数の増加率が高くなる。主な要因として、現地のネット
ワークを通じた取引先の開拓などによる国内の事業や、現地法人の管
理に必要な国内の雇用を増加させることなどが考えられる。
国際化のきっかけは「自社製品に自信があり、海外市場で販売しよ
うと考えた」という前向きな理由が最も多い。
地域別に見ると、中小企業は大企業と比較してアジアへの輸出割高
が高く、中国に現地法人を保有する割合が増加している。
非国際化企業が国際化しない理由は、約6割が「必要性を感じない」、
約3割が「国内業務で手一杯で考えられない」と回答。約3割が「国
際業務に必要な知識がない」、約2割が「国内で国際業務に対応でき
る人材を確保できない」「資金繰りが不十分・進出資金を調達できな
い」。国際化には情報、人材、資金などの課題を抱えており、課題の
解決を支援していくことで、国外の成長機会をより一層取り組むこと
ができる。
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◆「 勝(かち)を守る 」◆
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年々あらゆる時流の変化、企業業績の変遷等が極端に速く、今日好
業績だった会社が3年も経つと破綻を報じられたりする。商売には競
争が付きものだから、大きく勝者と敗者に二分されるが、勝ち続ける
会社とは一体どんな運営をしているのだろうか。
歴史上、戦争を繰り返す国を観察すると、1,2回の戦争に勝つこ
とは必ずしも困難とは思わないが、ずっと勝ち続ける国はほとんど無
い。本当の勝者とは、全く戦争をしないで世渡りしている国かもしれ
ない。
X社(婦人服小売チェーン)は、戦略として地方中核都市の激戦区
と言われる地区に進出し、徹底した価格競争等で同業他店を圧倒しな
がら急成長した。最初の5年くらいは好景気の波に乗って勝ち続けて
いたが、日本全体の消費低迷をきっかけに過剰在庫で資金繰り難にな
ってしまった。まだ競争に負けたわけではないが、社長は「勝ち続け
ることに疲れてしまった」と言う。
勝ち続ける戦略として、「オンリーワン」(独自の商品・サービス・
市場等を開発し、自社だけの経営資源を活用して差別化を目指すこと)
が叫ばれている。確かに、同質の経営資源の中で一番になるよりも効
率が良く、勝者の地位が安定するだろう。古人が言う「戦いて勝つは
易く、勝を守るは難し」(出典:『呉子』)は真実である。