■■ Weekly Fax News 629 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 依然解消しない ― 最低賃金と生活保護の問題 」
(2)「 訪日外国人旅行者の拡大 」
―――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――――
◆「 依然解消しない ― 最低賃金と生活保護の問題 」◆
―――――――――――――――――――――――――――――――
参議院選挙の結果もあり、民主党が主張している最低賃金の引上げ
はすんなりと進まないことが予想されている。最低賃金を巡る大きな
問題のひとつは最低賃金の額よりも、生活保護金額を時給換算した金
額の方が高くなる「逆転現象」が発生している都道府県があることだ。
働かずに受給する生活保護費が、働いて受ける時給より高いことは、
当然、勤労意欲を阻害し、健全な労働市場の醸成に著しい弊害となっ
ているとされている。
先日、中央最低賃金審議会の小委員会での発表によると、そのよう
な逆転現象が起きている都道府県は12に上っている。前年度に10
都道府県だったのに対し、12に拡大していることが明らかとなった。
逆転現象が起きている都道府県は北海道、青森、宮城、秋田、埼玉、
千葉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫、広島で、それらの都道府県
では今年の最低賃金の改定の際に、最低賃金が大きく引き上げられる
こともあり得るわけだ。
経営者側はいまだ低迷する景気の動向を踏まえ、大幅な最低賃金の
引上げは困難であるとしており、今後の紆余曲折が予想されている。
なお、最低賃金と時給換算した生活保護費との差が最も大きかったの
は神奈川県の47円となった。
―――――――――――――――――――――――――――――――
◆「 訪日外国人旅行者の拡大 」◆
―――――――――――――――――――――――――――――――
昨年中(2009年)、日本を訪れた外国人旅行者は約697万人
となった(データは「日本政府観光局(JNTO)」より)。政府は、
外国人旅行者の拡大戦略を3,000万人プログラムとして発表して
いる。すなわち、2013年度1,500万人、2016年度2,0
00万人、2019年度2,500万人という目標である。
現在、訪日旅行者は韓国・台湾・中国・香港の順に多いが、7月1
日から中国人向け個人観光ビザ発給条件の緩和により、中国人旅行者
が急増することが予想される。
外国人旅行者の増加は日本経済の隆盛に大変役立つが、どんな影響
が発生するであろうか。例えば、宿泊施設の受入体制は特に接遇の良
否である。観光庁が「訪日外国人受入接遇マニュアル」を作成したが、
既に外国人を積極的に受け入れている宿泊施設の事例によると、多く
の課題があるようだ。
例えば、日本ではお客様を笑顔で接客することが大事とされるが、
外国人旅行者の中には「不気味な笑い」と不快を示す人もあると言う。
また、和室に入る際に靴を脱ぐ習慣が無いとか、風呂の入り方等のマ
ナーが日本と異なる等の問題もあると言う。
宿泊施設に限らず販売業者等も外国人旅行者受入に慣れていないが、
必要に迫られての外国語の習得等、訪日外国人の増加は国民の国際対
応力を向上させるであろう。