■■ Weekly Fax News 670 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 義援金の税務上の取扱い ― 国税庁が発表(個人関係) 」
(2)「 成功の共有は難しい 」
―――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――――
◆「 義援金の税務上の取扱い ― 国税庁が発表(個人関係) 」◆
―――――――――――――――――――――――――――――――
個人の支出した国又は地方公共団体に対する寄附金などは「特定寄
附金」に該当し、寄附金控除の対象となる。国税庁が今回発表した義
援金等の取扱いでは、震災関連寄附金以外の特定寄附金(ア)と震災
関連寄附金(イ)の合計額から2千円を差し引いた額が、寄附金控除
額となる。ただし限度として(ア)は所得金額の40%、(ア+イ)
は所得金額の80%相当額と定めている。「震災関連寄附金」とは、
以下の通り。
1.国又は著しい被害が発生した地方公共団体に対する直接の義援
金
2.日本赤十字社の「東日本大震災義援金」口座や新聞・放送等の報
道機関に対する直接の義援金等で、最終的に国又は著しい被害が
発生した地方公共団体に拠出されるもの
3.中央共同募金会の「東日本大震災義援金」となる義援金等
4.中央共同募金会の「災害ボランティア・NPOサポート募金」と
なる義援金等
5.認定NPO法人に対して、被害者支援活動に特に必要な資金に充
てるために行った寄附金
等。4.及び5.は「特定震災指定寄附金」として、寄附金控除との
選択により税額控除の適用も可能。この場合、同寄附金の額から2千
円を差し引いた額に0.4を乗じた額が税額控除額となる。限度とし
て同寄附金の額は所得金額の80%、税額控除額はその年分の所得税
額の25%相当額。
―――――――――――――――――――――――――――――――
◆「 成功の共有は難しい 」◆
―――――――――――――――――――――――――――――――
創業から短期間で上場した成功談を見聞きした感想として、意外に
一人で起業した企業が多い事である。一般企業の中には、創業時は何
人かの友人と立ち上げたが、軌道に乗った後で一人になったという例
も多い。X社(パッケージ製造業)は、昭和50年に友人5人が発起
人になって贈答品包装材の会社として創業した。不況によって何度も
経営破綻寸前になったが、A氏がリーダーシップをとって乗り切って
きた。会社経営が苦しいときは、普段以上に仲間との信頼を強く感じ
た。平成期に入って、X社はA氏の個人的人脈で電器製品用のパッケ
ージ製造業に参入して、会社規模と業績を大きく伸ばした。ところが、
従業員数が100人を超して資本金を1億円にした頃からA氏の存在
感が大きく突出して、役員報酬や配当金等の決定に関して創業仲間4
人との関係が不和になってしまった。結局、4人の仲間はA氏に持株
全部を譲渡し、相当な役員退職金を受け取って会社を去った。
X社は現在A氏によって一層の発展を遂げ、中堅企業としての地位
を確立している。人は、苦難を共有しても信頼関係は簡単に崩れない。
しかし、苦労して勝ち取った成功の報酬を共有しようとする場合は、
仲間との信頼関係は案外脆いものである。