■■ Weekly Fax News 689 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 雇用促進税制 ― 思うように利用されず 」
(2)「 社長のてんてこ舞い 」
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◆「 雇用促進税制 ― 思うように利用されず 」◆
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雇用促進税制は一定数の雇用増に伴い、法人税額を控除するという
制度だが、その利用数は思ったように伸びていないのが現状だ。
政府の事前予想では、この税制の導入により年間約175,000
人の雇用創出効果があるとされていたが、8月末時点での見込み新規
雇用者数は6,000人にも満たない。申請した企業もわずか705
社だ。新規雇用者数が想定のわずか3.3%程度にとどまっている現
状は、「想定外」として看過できるものではない。
元々、この税制は法人税額を控除するという点を疑問視する声があ
った。赤字法人にはまったくメリットがないからだ。たとえば、法人
税額の控除ではなく別途助成金を支給する、新規雇用者にかかる労働
保険料を数年間免除するといったメリットがあれば、雇用創出効果は
さらに見込めるのではないか。もっとも、その場合は、もはや雇用促
進「税制」ではないが。
いずれにせよ、このままこの制度を継続しても思うような雇用創出
効果は期待できない状況だ。失業率も高止まりしており、雇用不安は
払拭されていない。結果として消費が抑制され、景気にも悪影響が出
ている。企業側が雇用へのモチベーションが高まるような施策の実現
が望まれる。
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◆「 社長のてんてこ舞い 」◆
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平日の10時、A社長と2時間の予定で経営計画支援に関する面談
をした。公的機関の紹介で、A社長とは初対面であった。40歳代の
元気一杯の2代目であり、これまでの計画を見直して独自性のある計
画を策定したいとのことであった。
面談を始めた直後から気になったのは、次々に入る社長への電話、
社員からのお伺いや伝言メモであった。面談が5分毎くらいに中断す
るので、話の焦点がぼけたり、説明を繰り返したりで、実に落ち着か
ない。
この時は結局途中で社長が外出しなければならないトラブルが発生
し、1時間程度で面談は打ち切りとなった。その後、3回面談をした
が、いずれも同じ状況であった。
A社長は「毎日忙しい」「社員だけでは何も出来ない」が口癖であ
る。正にてんてこ舞いだ。しかし、頼りにされることは嬉しいようで、
実によく対応している。一見、行動的で積極的な経営者のようにもと
れる。心配したのは、経営者としての時間管理や遂行の優先順位を重
視していないことである。確かに取引先や社員の要請には応えている
が、自己の展望や目標に基づいた行動が出来ていない。後日、今回の
計画見直しの相談は、A社長自らが自己の行動選択や経営姿勢に疑問
を感じてお願いしたと聞いたときは、筆者も大変安心した。