■■ Weekly Fax News 829 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 半数強が後継者不在 60歳代の社長―帝国データ 」
(2)「 兆候を捉える 」
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◆「 半数強が後継者不在 60歳代の社長―帝国データ 」◆
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帝国データバンクが実施した後継者問題に関する企業の実態調査で、
社長の年齢が「60歳代」の企業では半数強が後継者不在であること
がわかった。また、企業の“稼ぐ力”は、後継者不在企業が後継者あ
り企業の半分以下にとどまり、社長の高齢化に伴い事業価値が低下す
ることも判明した。
24年度以降の後継者の実態について分析可能な28万4,412
社を対象に後継者の有無を集計したところ、9万8,388社、構成
比34.6%が後継者あり、65.4%に当たる18万6,024社が
後継者不在だった。実に3分の2の企業が後継者不在ということにな
る。社長の年齢が60代の企業では53.9%が後継者不在。70歳
代は42.6%、80歳以上でも3社に1社に当たる34.2%が不在
だった。
後継者ありの企業の後継者の属性を分析すると、子供が構成比38.
4%で最多。次いで非同族が30.7%、親族が19.9%。近年、後
継者に非同族を選ぶケースが増えつつある。同族外への承継にも利用
可能となった事業承継税制などの影響もあるとみられる。企業のキャ
ッシュを生む力(売上高事業価値比率)は、後継者不在企業が後継者
あり企業の2分の1以下と、低水準であった。後継者問題と企業の
“稼ぐ力”は密接に関わりあっている。
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◆「 兆候を捉える 」◆
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二宮金次郎(尊徳)は、夏の土用前に糠味噌漬けにして食したナス
が秋ナスの味がしたことから、天保の大飢饉を予測した。二宮金次郎
の偉いところは、直ちに村人を集めて気象異変の影響が少ないソバ・
ひえ・あわ等を出来るだけ多く作ることを指示したり、穀物の買い入
れをしたりしたことだ。物事を真剣に観察していれば、様々の兆候を
捉えて将来の不祥事の防御や新たな経営戦略等に備えることが出来る。
例えば、普段よく買物をするスーパーに入って、「店内の清掃や陳列
が以前より徹底している」「かごの中の商品点数が増えた」「店員の
声が大きく活き活きしている」等を見聞すれば、一般に景気の好転を
予想するだろう。また、会社の取引先を訪問した際に、「受付台の花
が萎(しお)れていた」「玄関の電球が切れていた」「駐車場にゴミ
がたくさん落ちていた」等に気づけば、その会社の先行きに懸念を持
つかもしれない。要は、問題発生の兆候を捉えた場合の情報活用であ
る。問題の兆候を捉える人は多いが、その対応策を考えたり、実施し
たり出来る人は案外少ないのである。二宮金次郎のように異常気象の
兆候を捉えても、大飢饉を懸念した対応策を実行出来ないかもしれな
い。兆候を捉えることは、その対応策を行動に移して初めて価値を持
つ。