■■ Weekly Fax News 842 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 増加する定額残業代支給 ― トラブル対応の注意が必要 」
(2)「 三拍子揃う前に 」
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◆「 増加する定額残業代支給 ― トラブル対応の注意が必要 」◆
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人件費高騰に頭を悩ます多くの企業にとって、残業代の支払いはで
きれば避けたいというのが本音だろう。しかし、特に策を講じるでも
なく、単に残業代の支給をしない、残業の際には事前にタイムカード
を打刻させるなどといった無理をしようとすると、労働基準監督署へ
の申告等が当然のように行われる。
トラブルになってから各種手当に残業代が含まれているという後出
しの理屈を主張する事業主もいるようだが、これはなかなか通用しな
い。裁判でもこの点はかなり厳しく見られることが多く、そのような
主張をするつもりがあるなら、後出しにならないような対策を講じて
おく必要がある。基本的には定額残業代支給があることを明示し、給
与明細などでも区別して支給することがまずは求められる。また、定
額残業代を超えて超過勤務をした場合は差額を支払う旨の規定を用意
する、定額残業代に時間外分と深夜分の双方が含まれていると主張す
るのであれば、その区分やどちらを優先して充当するかなどについて
も明示すべきだろう。役職手当等が残業代の代わりだという事業主側
の解釈は通じない事が多い。トラブルを避けるためにも、雇用契約書
や就業規則等でできるだけ客観的に証明できるよう心がける必要があ
る。
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◆「 三拍子揃う前に 」◆
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新規創業を考えている人のうちで、実現する人と実現しない人の違
いは何であろうか。創業の構想(経営理念・ビジョン・資金調達方法・
収支計画等)と将来の夢を持っている人は、実現の見込みが大きい。
実現しない人は、創業の計画が曖昧であるか、創業の計画に完全性を
求め過ぎるようだ。 A氏(某社に勤務中)からリサイクルショップの
創業相談をうけたが、2年経った現在も実現していない。最初の相談
の時、A氏は40頁くらいの計画書を持って来た。ビジョン・資金計
画・収支計画・販売仕入計画等が詳細に立案されていた。その後も計
画に修正を加え、いよいよ実現の日が近いと思ったら、「従業員の不
正が心配」「盗難や苦情が心配」「商品の鑑定や査定に自信が無い」
「失敗したら家族の生活が心配」等と、次々に不安を言うようになっ
た。A氏のような心配は、創業を考える者のほとんどが多かれ少なか
れ抱く事柄である。各自の性格や環境によっても異なるが、創業の準
備の程度にもバランスが必要だ。粗雑な計画策定又は計画を策定しな
い思い付きだけの創業も危険であるが、完全無欠の準備を目指した創
業は妄想が生じて実現が難しい。創業の実現は、一応の構想や計画を
練った後、三拍子揃う前に思い切った決断を下す心構えが求められる。