■■ Weekly Fax News 850 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 協会けんぽの保険料率 ― 全国平均で据置方針 」
(2)「 買物する人の立地環境 」
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◆ 「 協会けんぽの保険料率 ― 全国平均で据置方針 」◆
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財政的に厳しいとされる全国健康保険協会(協会けんぽ)だが、2
015年度の保険料率を全国平均で現行の10.0%に据え置くとす
る基本方針をまとめた。ただし、都道府県ごとの保険料率は見直しが
検討される。
多くの中小企業が加入している協会けんぽの保険料率の動向は、経
営的にも大きな影響がある。仮に年収300万円の従業員を100名
雇用している企業であれば、保険料率が1%上がれば単純計算で企業
負担は150万円増えることになる。協会けんぽの財政は、国の支援
により多少好転しているが、それでも医療給付費は増加している上、
中小企業の賃金の安定的な上昇も厳しい状況下にあり、先行きは不透
明だ。厚生年金保険料率も上がり続けている状況で、多くの中小企業
経営者からは赤字であればメリットがない法人税率引下げよりも、社
会保険料を何とかしてほしいという声は根強い。企業努力ではなんと
もしようがない社会保険というアイテムが、経営努力を帳消しにする
ようなことがないような施策が求められている。なお、昨年12月に
選挙があった関係で予算編成に遅れが生じたため、都道府県ごとの保
険料率の見直しを行う場合は、5月実施が予定されている。給与計算
においては注意が必要だ。
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◆「 買物する人の立地環境 」◆
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商店や会社を創業する人は、立地条件の選定を重視する。ところが、
通常の人は家を新築(購入)する時や転居の際に、買物やサービスの
利便性を表す「買物の立地条件」をあまり深く考えていないようだ。
A氏(75歳)は20年前、都心のマンションを売却して、郊外に
ある最寄駅から10km離れた所にある一戸建てに住みかえた。当時、
近隣に20軒程の商店街があったが、地元の商店は利用せず、週1回
車で駅近くの大型スーパーで買物をした。その後、近隣の商店は2店
に減少したが、車で買物をしている間は不便が無かった。ところが、
A氏は交通事故で足が不自由になり、車の運転が出来なくなった。健
常者の怠慢であった。現在、A氏は地元農家を組織化して農産物直売
所を作ったり、同じような境遇の高齢者数人が協力して共同店舗の運
営をしたりしている。外部からの自動車客に頼らず、地元高齢者の需
要を中心にしている。全国で買物難民の問題が注目されている。住居
の場所を選定する場合、その時の境遇(車を運転する、足に自信があ
る、都市部に通っている等)だけに惑わされず、長期的な地元商店街
の活気度や経営者の年代層、地域人口の推移等を調べてみる必要があ
る。今後、買物の立地条件の地域間格差は非常に大きくなるであろう。