■■ Weekly Fax News 862 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 協会けんぽの保険料確定 ― 例年との違いに注意 」
(2)「 経費節減策の罠(ワナ) 」
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◆「 協会けんぽの保険料確定 ― 例年との違いに注意 」◆
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協会けんぽの都道府県ごとの平成27年度保険料率が確定した。今
年は予算案の閣議決定が遅れたため、例年より1ヵ月遅れの適用とな
る。例年、3月分(4月納付分)から変更となっていたが、今年度は
4月分(5月納付分)から適用となる。一般的には5月支給分の給与
から、変更された新しい保険料率に基づく控除額が適用されることに
なるわけだ。
保険料率は東京、神奈川で据置、埼玉で0.01%引下げ、千葉は
0.04%引上げとなった。全国一律の介護保険料率は1.72%か
ら1.58%に引き下げられ、協会けんぽの保険料率と言えば毎年上
がるものという印象を多少なりとも覆す結果となった。保険料は協会
けんぽの加入者に対する医療給付や保健事業等に充当する基本保険料
と高齢者医療等に充当される特定保険料の合計だ。基本保険料率は佐
賀県の6.38%が最高、新潟の6.03%が最低となった。特定保
険料率は全国一律で3.83%だが、これまでの推移を見ると4.0
7%、4.15%、4.01%、3.62%、3.50%、3.20
%と上昇傾向にあった。21年度と25年度で見ると、1%近く上昇
している。保険料率の上昇を抑えるためには、特定保険料という負担
が鍵になるだろう。
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◆「 経費節減策の罠(ワナ) 」◆
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中小企業が経費節減策によって収支が大幅に改善した例は、意外に
少ないようだ。節減策と言うと、「退職社員の補充をしない」「こま
めに電灯を消す」「紙の裏表にコピーする」「明確な目的がない交際
接待を止める」「中古設備を導入して、減価償却負担を減らす」等が、
よく挙げられる。もちろん、経営改善の為には経営計画を策定して無
駄な経費を節減する努力は必要だ。しかし、経営姿勢を変えずに経費
削減策だけが先行すると、現状の売上高(又は粗利益)も維持出来な
いことがある。結果、急速な節減に限界のある固定費が賄えなくなっ
て、収支状況や資金繰りが悪化することがある。また、例えば企業再
生計画等においては、「仕入原価率を下げ、売上高や設備は現状維持
にする。結果、支払利息や経費を節減して黒字経営を目指す」等とい
うものが多い。しかし、計画通りに実行出来ず、人件費・光熱費・宣
伝費・交際費等の節減中心に力を注いだ結果、その節減の効果以上に
収益が低下してしまうことがある。経営意欲が委縮してしまうのかも
しれない。経営改善の基本は、健全な付加価値額(=人件費+営業利
益+減価償却費)の確保にあることを認識し、経営活動に必要な設備
や諸経費をバランスよく使用して黒字経営が成り立つような施策が求
められる。