【 社長通信 №2 】
2003年2月号 vol.2
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世の中デフレだが、個人はインフレ
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自分のための消費は惜しまない時代だといわれる。東京丸ビルに行
かれた人はわかるが、こんなに人がいる。レストランの値段は裾が35
00円、上が3万円である。休日には行列である。
「谷口正和氏」によれば、自分の興味、自分の楽しみ、自分の身体、
自分の健康などの「トゥー・ミー・マーケット」に関しては、世の中
大変景気がいいのです。
「トゥー・ミー・ギフト」顧客のニーズを知りたければ個人に聞け、
です。定量型の総論調査は役に立たない時代とも言えます。
「トゥー・ミー・インフレ」消費は、「自分の納得」が基本ですか
ら、よく吟味します。厳選、洗練、固有性へのマッチなどが問われま
す。そして自分が納得すれば「トゥー・アザー・ギフト」になってマ
ーケットは爆発するのです。「たった一人のあなた」のためにどのよ
うな商品、サービスを作り出すことができるかそこにマーケットの起
爆剤があります。
「もう人と同じはイヤ」「トゥー・ミー・商品を作ってくれれば、
トゥー・ミー・インフレで応えてあげる」です。
これは消費観の大転換です。「人と同じ」で迫ろうとすれば、また
価格に引き戻され、低価格競争に引きずり込まれます。「人と同じ」
オーバー・プロダクツ社会の終焉です。
「たった一人」のウォンツと丁寧に丹念に聞き出し、そこから「た
った一人」用の商品やサービスの糸口が見えれば、その背後にたくさ
んの顧客が並んでいるのです。
「トゥー・ミー・インフレ」に迫れ、火をつけよ。個人消費の入口
は見えた。
ついに、この春から個人向け国債が発行される。発行日は3月10
日だという。早くも大人気で売り出し額の10倍の応募があった。こ
の国債は、従来の金融機関、大口投資家向けのものではなく、一般国
民向けで1万円から購入できるものだ。
「フォーテル経済研究会」によれば、その利息は、なんと0.09%で
変動性、下限は0.05%である。金利0.09%の場合、100万円投資すると、
利息は900円。下限の0.05%なら500円である。金利0.09%で、1000万円
投資した場合の利息は9000円。1億円でやっと9万円である。
しかし、これで驚いてはいけない。この利息には源泉課税が20%か
かるので、実際の手取りは1000万円の投資で7200円、1億円の投資で
7万2000円である。
1億円といったら大金でる。1億円持っていれば大抵の国ではミリ
オネアー(大金持ち)である。ところが日本では年間にもらえる利息
が7万2000円。一月当り6000円だ。これではどんな家でも暮らしてい
けない。
個人向け国債の投資条件は次の通り。◎元本保証、◎下限金利0.05
%、◎インフレ率に連動する、◎10年満期、◎1年経過すればいつ
でも換金OK、◎郵便局でも金融機関でも購入可能、というものだ。
そして、女優の藤原紀香が「国債っていいかも」とのたまわって宣伝
する。
個人向け国債が人気を集める理由はいくつかある。①個人向け国債
だから、元本が保証される。②インフレに連動する。③現状のような
低金利で運用の方法が他にない。④来年4月から新札が発行される。
この国債はまともな神経の人なら買わない。なぜなら次の理由を検
討すれば一目瞭然だからである。
まず金利である。前述したように下限を0.05%にしているというが、
現在の売り出し中の金利は0.09%である。こんな安い金利は金融機関
ならいざ知らず、個人なら、買っても買わなくても同じようなものだ。
しかし、この国債はインフレになれば、そのインフレ分の金利を乗
せて保証してくれるというところが人気の的のようだ。過去を調べれ
ば、すぐわかることだが、インフレに追いつく金利はない。インフレ
だと判定し、その評価をした時には、インフレはさらに先に進んでい
て、金利はいつも後追いになるものだ。にもかかわらずこれで大切な
タンス預金を国債に換えて下さいといわれても、おいそれと国債を買
うわけにはいかない。
多くの小口資産家はお年寄りである。そして、インフレに一番弱い
のはお年寄りである。そこに、「インフレに連動しますよ」という国
債が登場したら、思わず手が出てしまうということなのだろう。
しかし、インフレに追いつく金利はない。さらに、いつでも換金で
きるといっても、最初の1年は凍結、低金利の上に20%の源泉がかか
る。投資金額700万円未満の場合、身体障害者などには源泉がかから
ないという特典はあるが、これも微々たる特典である。
フォーテルで「易学的に見ると60年前と同じようなことが起こる可
能性が高い」と予測した。当たるも八卦の世界だが、60年前、120年
前の癸未の年には増税、個人に対するテロ、日銀の国債直接引き受け、
国債の国民への強制所有があった。特に60年前の昭和18年には、給料
の中に国債が強制的に入ってきたのだ。その悪夢は再び姿を変えて出
てきたかもしれない?!
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トイレトペーパー高騰
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「藤原直哉氏・ワールドレポート」によると、白日夢のようなニュー
スとはこういうものを言うのでしょうか。今日本でトイレットペーパ
ーの価格が高騰しています。原料の古紙が中国で人気で品不足になっ
ているためで、中国では輸出が増えて製品出荷用のダンボールが足り
なくなり、日本から古紙を輸入してそれを原料にしているのだそうで
す。30年前の狂乱物価もトイレットペーパーの価格高騰から始まった
わけですが、これがパニック的なものになるかどうかはともかく、い
よいよインフレがはっきりと目に見える形で日本人の生活に忍び寄っ
てきたようです。イラクに対する戦争が中止になれば原油供給に対す
る不安は解消されますが、反対に米国の安全保障上の信頼に大きな傷
がつくと同時に米国内の経済問題が一気にクローズアップされてきて、
まずドルの信頼がどこまで保たれるかが非常に疑問になってきます。
米国では株価暴落と同時にガソリン等燃料価格上昇が顕著になってい
て、ドルが安くなればそれは破局的な状況になります。ドル安・ユー
ロ高・スイスフラン高の様子を見れば依然として欧州は米国から大量
の資金を抜いているようで、ここまで狂乱的になるとブッシュ政権は
本当に米国から海外への送金禁止措置に踏み切る可能性が高いのでは
ないかと思います。日本もいよいよ年度末となって銀行の巨額増資の
行方やインフレターゲット論を巡る次期日銀総裁の人選などを巡って
金融情勢が緊迫しつつあります。特に激しい円高がくれば自動的に日
銀は激しい為替介入に踏み切るでしよう。まだまだ緊張は続きます。