■■ Weekly Fax News 569 ■■
―――― ◆ 目 次 ◆ ―――――――――――――――――――――
(1)「『上』と比較する 」
(2)「 店長会議の工夫 」
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◆「『上』と比較する 」◆
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景気が厳しくなると、経営者の間で業績不振の噂や経営破綻した会
社のこと等の話題が多くなるものである。経営者に限らず管理者や一
般社員の間でも、業績不振の原因を同業者の不振に求めるようになる。
X社(婦人服小売チェーン)のA社長の信念は「景気が厳しくなれ
ばなるほど、上を見て仕事をしなければならない」である。経営会議
等において、自社の業績を他社の経営不振と比較することは認めない。
特に、社員の報告の中に「うちの店も大変ですが、Y社に比べれば良
いですよ」という言葉があれば徹底的に反省させる。A社長は「同業
者の実践している良いアイデアや前向きな計画を集め、自社の経営に
活用することを考えよう。少しくらい良い結果を得ても、Z社に比べ
たらまだ不十分だと考えよう」と、下と比較せず上と比較することを
求める。
世間話においても、仕事や素行に問題のある人間等について、「仕
事を怠けるのは酒飲みより良いだろう、酒を飲んでも賭け事や暴力よ
りも良いだろう」と下を見て比較することがある。慰めの会話にはな
るが、今後の行動改善や発展には役立たない。
A社長は、イベントや接客のアイデア収集の際も成功事例を参考に
する。失敗事例も教訓とするが、業績向上に直接寄与するのは成功事
例だけだと言い切る。
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◆「 店長会議の工夫 」◆
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X社は菓子類の安売りチェーンを展開しているが、店舗が10店を
超えた頃から各店の売上に停滞が見られるようになった。月1回店長
が本店に集まって販促の会議をしているが、A社長によれば「毎回、
良いアイデアが浮かばないと言って帰っていく」と嘆く。
しかしその後、社長が公的機関の支援センターに相談して会議の進
め方を工夫したところ、販促アイデアの収集力だけでなく労働意欲と
売上も向上する結果となった。A社長は「専門家の意見は素直に聞い
てみるものだ。経営は独自の工夫を重ねないと発展しない」と考える
ようになった。
さて、販促を主なテーマとしたX社の店長会議は、次のように進め
られた。
1.各店長は、日頃から異業種及び同業種の店舗を見学して、具体的
に目で見た特徴ある販促アイデアを収集する。
2.会議中に誰かが思いつきやひらめきで出す案に頼ることを禁止し、
全店長が自ら見聞した販促アイデアを発表する。
3.各案の長所短所を検討し、さらに採用アイデアに改善を加える。
次に、店長が交代で実施企画を作り、確実に実行する。
4.前もって全店長にアイデアを知らせておくので、発言の準備が出
来て会議が活発になり、店長同士の結束が固くなった。
【次号は休刊となります。宜しくお願い致します。】