■■ Weekly Fax News 625 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 どうなる最低賃金の行方 ― 引き上げ案に賛否 」
(2)「 成果配分の鉄則 」
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◆「 どうなる最低賃金の行方 ― 引き上げ案に賛否 」◆
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民主党がマニュフェストに掲げた全国平均の最低賃金を1,000
円に引き上げる政策は、中小企業を中心に大きな関心事となった。2
009年度の最低賃金は全国平均で713円。一気に300円近くも
時給が引き上げられれば人件費増にたえきれない企業が続出する懸念
があるからだ。
ここにきて、政府は平均で名目3%を上回る経済成長や中小企業支
援に取り組むことを前提に、全国平均の最低賃金を2020年までに
1,000円に引き上げることを目指す、出来る限り早期に800円
に引き上げるという新しい方針を発表した。
働く側とすれば、時給は高いに越したことはなく、使用者側とすれ
ば安いに越したことはないことは言うまでもなく、労使の溝はなかな
か埋まらない。とはいえ、働いても自活出来ない「ワーキングプア」
の解消は消費にもつながり、結果的に企業にとっても恩恵があること
も間違いない。参議院選挙の行方も最低賃金の動向に大きな影響があ
るだろう。今後の政労使の交渉の行方が注目される。
なお、最近では最低賃金を下回る賃金を払っていた企業や事業主が
最低賃金法違反容疑で書類送検されるケースも出ているので、そのよ
うな法令違反行為をしないよう注意が必要だ。
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◆「 成果配分の鉄則 」◆
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樹木につく果実は毎年十二分に付けておくと、やがて疲れて衰退す
るものである。蕾などを摘み取ることによって、毎年立派な果実を付
け続けることができる。
商売の成果も同様で、役員等が発生した全ての成果を得ようとして、
一時的な成果獲得に終わったり、結局会社に定着しないで消えてしま
ったりすることがある。
X社(店舗内装業)は、役員2人(65歳の父親と息子)と雇用従
業員8人で営んでいる。成績は比較的安定しているが、最大の課題は
従業員の定着性が悪いことである。長年個人事業として経営してきた
が、法人化後もドンブリ勘定になっている。役員報酬を目いっぱい取
って税金をできるだけ支払わず、従業員給料の水準が低い。予想以上
の収益が発生した年でも賞与を支払わず、決算が赤字になれば「借金
して給料を払っている」と愚痴をこぼしたりする。商売の成果は、全
てが経営者のものと考えている。結局、X社の成果配分は役員に偏っ
ているので、従業員の勤労意欲を減退させる。さらに、役員が役得と
して経費(交際費等)を自由に使うので、会社に財産が蓄積せず、外
部からの借入金が増える状況である。
商売の成果配分は、経営陣と従業員の一方のみに偏らず、働きにバ
ランスした配分をすることが「継続企業」の鉄則である。