■■ Weekly Fax News 638 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「 4月入社社員へ ― 有給休暇の付与 」
(2)「 商売は詭道(きどう)か? 」
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◆「 4月入社社員へ ― 有給休暇の付与 」◆
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年次有給休暇は入社時に付与する義務はない。有給休暇は労働基準
法上、継続して6ヶ月勤務し、かつ所定労働日の8割以上出勤した者
に付与する義務がある。そのため、仮に4月1日に入社した社員がい
る場合、8割以上の出勤という条件を満たしていれば、10月1日か
ら有給休暇を付与する必要があるわけだ。
入社時から有給休暇を付与している企業においては問題ないが、法
律の原則通り、6ヶ月間の継続勤務等を有給休暇の付与要件としてい
る企業においては10月から発生する有給休暇について対象者へのア
ナウンスと休暇管理システムへの登録等をする必要がある。
初年度には10日の有給休暇を付与する必要があるが、たとえば毎
年1月1日を有給休暇の付与基準日としている企業においては、10
月1日から有給休暇が発生する社員のみを同日を基準に管理すること
は煩雑であるため、全員一律の基準日による管理を行なう企業も少な
くない。この場合、10月1日から12月31日までの期間分として
10日の有給休暇を付与する必要があるため、注意が必要だ。
※先週の内容に誤りがありましたので、差し替えお願い致します。
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◆「 商売は詭道(きどう)か? 」◆
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「兵とは詭道なり」と言う(出典は、兵書『孫子』)。つまり戦争
は敵の裏をかきながら戦ってこそ勝つことが出来ると言う。平和な時、
商売をする上で、この相手の裏をかくという策は、はたして今でも必
要な得策なのであろうか。
X社とY社は、ある地方中核都市で同規模の機械部品製造会社であ
った。30年以上に亙り、お互いが技術開発を競うことによって共に
成長を遂げてきた。ところが、ある時期の不況により、同一地域内で
両者が成長を続けることが困難になった。また、X社では事業承継が
あり、経営陣が大幅に入れ替わったためかY社への遠慮がなくなった。
X社から合併や提携を提案したこともあるが、これらはY社から拒絶
された。結局、X社が企てたことは専門会社を活用したY社技術者の
引き抜き作戦であった。この策はリストラが盛んな時代であったため、
比較的容易に成功してしまった。
X社の手段を不正と見るか、法に反しなければ単なる商売上の策略
と見るかは、各社の経営理念や経営者の信条によって異なるであろう。
その後、同地域では中国への工場進出が相次いだことから、企業間の
技術協力や共同出資が盛んになった。しかし、X社の成長の理由を承
知している関連業者からは仲間外れになっている。