■■ Weekly Fax News 769 ■■
――――◆ 目 次 ◆―――――――――――――――――――――
(1)「教育目的以外でも支出可能 ― 終了時に贈与税課税価格に参入」
(2)「 アドバイザーの諫言 」
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◆「教育目的以外でも支出可能 ― 終了時に贈与税課税価格に参入」◆
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この度創設された教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度で
は、一度払い出しを受けた資金を教育目的以外に支出することも可能
となっている。同制度は、教育目的の支払を証明する領収書等の提出
時期を次のように2通り規定している。
1)自身が教育資金を支払った後、1年以内に領収書等を提出し、
一括贈与の口座から払い出しを受ける
2)支払いと払い出しの前後は問わずに払い出しを受け、支払い後
に1年分の領収書をまとめて翌年3月15日までに提出
2)は資金の前払いにあたるが、教育資金以外に充てることも禁じ
られていない。例えば貴金属を購入することもできるが、その購入費
は非課税措置の対象とはならないため、同契約が終了した日の属する
年の贈与税の課税価額に、口座内の残額とともに算入されることとな
る。
受贈者は、教育資金管理契約の締結時にいずれかを選択できるが、
その後の変更はできない。祖父母など贈与者が教育目的以外にも自由
に使えるようにと考えているのであれば1)を、それ以外にも自由に
使えるようにと考えているのであれば2)を選ぶことになる。現時点
では、制度に対応した信託商品等を扱う金融機関の多くが1)を採用
しているが、用途に沿った商品選びがポイントとなろう。
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◆「 アドバイザーの諫言 」◆
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他人に諫言して後悔したことがある人は多いであろう。特に、会社
等の組織において、やむを得ず下の者が上の者に諫言して左遷される
ことは珍しくない。歴史小説等では、上役に諫言して失脚する話がよ
く出てくる。組織に限らず、外部のアドバイザー(税理士・経営コン
サルタント等)が経営者に諫言する場合も同じ悩みがある。例えば、
経営者が法律や規律に反するような行為をしていたり、策謀を提案し
たりした場合である。明らかな脱税行為や労基法違反等は勇気をもっ
て諫止すべきであるが、経営者によってはそのようなアドバイザーを
遠ざけてしまうこともある。一時的なアドバイスは迷い無く出来るが、
継続的なアドバイスにおける諫言は勇気や信念がなければ難しい。
「気が合う経営者でなければ長続きしない」ということか。筆者はア
ドバイザーとして、次のような心構えをしている。(1)積極的な法
律違反行為は引き止め、その結果の損失を説明する(2)商道徳に反
する重大行為(誇大広告や競争会社の毀損等)は、長期的観点からの
不利益を説明する。以上の2点は、諫言が容れられなければアドバイ
ス終了もやむを得ない。(3)アドバイザーから見た経営戦略や経営
方針の誤りは必ず指摘・指導するが、最終的には経営者の決断に依る
ほかは無い。